【2023.4.5追記】
2022年度下期の電験3種合格発表は4/10(月)となりましたね!
合格ラインが何点になるのかが気になることろです。
さて、今回は受験者が最も気になる(?)、電験合格後の転職について書いてみたいと思います!
↓電気カニって何者?って思った方はこちらへ。電験1種持ちで66kV受電工場の電気主任技術者として働いています。
目次
「強くてニューゲーム」にはならない?
結論から言うと、電験を持って転職しても強くてニューゲームにはなりません!
電気の事が分かる+他に何ができるかで、採用時の査定(給与や職位)が変わります。
工場だったら設備保全、省エネ、ユーティリティ設備(ボイラーやコンプレッサーなど)の管理スキルや、新規案件が多い場合は建築関係の知識があったり、CADが使えたりすると活躍しやすくなります。
私が過去に転職活動をして面接を受けた際は、「PLCは使えますか?」という質問を受けた事もあり、企業としても電気主任技術者業務以外に何ができるのかを採用活動のポイントとして重視しているように思われます。
電気主任技術者としては前任者には敵わない
新設で工場や発電所を作る場合を除いて、大抵は前任者から引き継ぎの上、その職場に慣れてから電気主任技術者として選任されるパターンが多いです。
そして前任者はその会社で少なくとも数年は経験を積んだ熟練者…
普遍的な電気知識はあっても、その需要家(発電所)に特化した知識は経験を積まないと身に付きません。
転職して数ヶ月間は工場内の歩き方や職場内ルールを覚えつつ、受変電設備の構成を少しずつ把握していきます。
前任の電気主任技術者と定期的に会話をしながら、今までのメンテナンスの事や注意して見るべき設備などを学んでいくことで、ようやく電気主任技術者として選任されるのに必要な信頼を得ることができます。
転職してしばらくは成果を出すよりも周囲環境に慣れることが重要で、前任の電気主任技術者の会社内での立ち回りを見ることが非常に役に立ちます。
転職時に他社に持っていけるスキル
私の場合は省エネ関係のスキルが一番役に立ちました!
エネルギー管理士の資格も持っていたので、省エネ業務もできるというイメージを持たれていたようです。
下記①~④の手順は前職で得たことがそのまま使え、かつ現職でできる人が少ないスキルだったので、転職直後から活躍することができました。
①各職場のエネルギー使用量をまとめ、生産量との対比から各月の生産量当たりエネルギー使用量(原単位)を算出し大きな振れが無いかを見る
②原単位が良くなった/悪くなったときは現場に聞き込みに行き、その月の変化ポイントとエネルギー使用量の変化の因果関係を調べる
③原単位が悪くなった時は改善(故障している部分の修理など)を行い、良くなった時は他職場への水平展開を行う
④以上の活動をエネルギー管理標準に基づき実施し、年に1回の定期報告時に実績とともに活動計画として申請する
省エネのスキルは前職ではあまり評価されていなかったのですが、他社に行くと全然違った評価となるという事が意外でした。
このように、「転職で他の会社に行ったときに何ができるのか」を考えて転職面接に臨んだ方が良いですね。
転職前に何を身に着けておくべきか
電気主任技術者として選任される場合、制御回路を読めることが必須条件となります。
制御回路の構成要素(リレー、タイマー、スイッチ、表示灯…など)を学んでいくと、PLCのラダー図を効率的に使いこなせるようになります。
PLCを使えるようになると、生産設備の保全業務時にトラブル箇所を素早く特定したり、ユーティリティ設備の簡単な制御回路変更を自分で行うことができるようになります。
このようにして電験取得→電気主任技術者スキルを積む→電気以外のスキルを他社で通用するレベルまで鍛えるという手順で私は転職したので、比較的スムーズに現職に慣れることができました(前職も現職も特高受電の工場なので共通部分も多かったです)
転職時はできれば工場見学等をさせてもらい、自分が配属される部署の仕事内容を聞いておくことで、転職先で新しい仕事を始めるまでの準備期間とすることができます。
スキル取得しやすい企業選び
転職後に選任の電気主任技術者になったり、実務経験を積んで独立…など目標がある中、どんな企業だとスキル取得がし易いか、目安になればと思います。
①受変電設備の老朽化更新が近い
設備更新をする場合は様々な条件、規則の中でベストな仕様選定をする必要があります。
竣工直後の新設工場などに勤務してしまうと更新業務とはほぼ無縁…なんてこともあるので、転職後すぐにスキル取得は難しいと思います。
あまりにも古い工場で、常に様々なトラブルに悩まされている場所は大変ですが、スキル取得が目的であるならばあえて荒波に飲まれてみる?のもありかもしれません
(というか私の新卒就職時の会社が常にトラブルと隣合わせでした😂)
②前任の電気主任技術者が退任間近
電気主任技術者の選任、解任のタイミングで保安規定の改定などがある場合、保安規定の細部を見直したり、保安規定の文面が法令のどの部分から来ているのかをよく知る事ができます。
また、経済産業局に提出に行くときなどに担当者と会話することができるので、保安規定の中のどの部分を重要視しているのかを感じ取ることが出来ます。
※今は保安ネットで電子申請ができるので、直接提出にはいかないかもしれませんね😅
③たくさんの工場を運営している企業
特高受電の場合、1人の電気主任技術者が常駐できる工場は1つですが、複数の工場を運営している企業に就職した場合は自分が勤めている工場以外の受変電設備も業務応援等で見ることができます。
同じ会社でも工場の用途や年式によって受変電設備の構成が異なっており、1つの拠点でずっと働き続けても分からないことがたくさんあります。
拠点が全国に散らばっている場合は転勤等の発生もありますので、働きたい場所がある場合は難しい条件でもありますが、地方ごとに電力会社の考え方も大きく異なるので、経験として多工場、他地域で働いた知識を有している電気主任技術者は経験年数に対して非常に幅広い知見を得ることができます。
やり方は1つじゃない
ここまでは私の転職体験を元に書いてみましたが、あくまで一例として紹介しています。
実際には工場で作っている製品の種類によって生産工程も異なりますし、特高受電工場といっても22kV~154kV(それ以上もある?)と幅広く存在しているので規模も様々です。
大規模な会社だと1人が受け持つ範囲は狭くなり、老朽化設備の更新を年中やっており、専門範囲に特化した電気主任技術者もいたります。
小規模な会社だと電気主任技術者としての業務ウェイトが小さくなりがち(?)な傾向にあるので、広く浅くな業務で設備保全から省エネまで電気に関わるものすべてを受け持っている電気主任技術者もいます。
転職をせずに社内に残るにしてもこの考え方は役に立つので、電験に合格して免状が届いた段階で自身のスキルアップの方向性を考えてみるのも良いかもしれませんね。
あとは工場以外にもいろんな転職の選択肢がありますが、私は工場以外には詳しくないのでカフェジカさんの動画が分かりやすかったです!
電験取得後の転職を考えているときは、夢が広がっていく感じがあって楽しいので、いろんな可能性を検討してみてください😁
↓今から電験3種受けるよ!って段階の方はこちらの記事の方が参考になるかと思いますdenkikani.com